月に繭 地には果実

上巻と中巻は持っていたけど、下巻だけがどこ探しても売ってなくて半ば諦めていたところ、バイト先にだいぶ前からあった事を知ってガックリしながらも買って読みました。
もう前2巻の内容も忘れかけてたので丸一日かけての全巻読了。
内容自体は∀ガンダムのノベライズなんだけど、書いてるのが福井さんだけあって物語の落着の仕方がTV本編とはまるで別物。
もうTV版も何年も見返してないけど、当時受けた印象をそのまま持って読むと、重たくて辛い話の中でも人の体温みたいなものが感じられたTV版とは違って、福井晴敏特有のシニカルな描写がキャラクターや物語全体から滲み出てて少しだけ違和感。
主要キャラクターがTVの印象を残したままほとんど別人になってるのは凄くショッキングだった。
話の落とし方も当時から僕が一つだけ残念に思ってた事柄をハッピーに解決する代わりに、他の帰着点を割とバッドな方向に持っていったのは怒りでも残念でもなく単純にショックだった。
TVの∀ガンダムは富野監督が割と「白い」時に作られた作品だったからああいう風に落着したけど、
これが「黒い」時に作られてたらきっとこの本みたいな終わり方になったのかなあと、思うと安心というか∀ガンダムという作品に対して「良かったね」っていう感想が沸いてくる。
そういう意味では上巻の解説で富野監督がこの物語を賞賛してるけど手放しで喜んでない様子がなんとなく分かってちょっと可笑しい。
あと個人的な感想としては作中の女性がどいつもこいつもhidakaさんの好みにバッチリ当てはまりそうな性格になってて面白かったです。
今年はもっとちゃんと本を読もう。